平壌放送
平壌放送 평양방송 | |
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運営 | 朝鮮中央放送委員会 |
設立 | 1955年10月14日 |
在籍国 | 朝鮮民主主義人民共和国 |
所在地 | 平壌市 |
平壌放送 | |
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各種表記 | |
チョソングル: | 평양방송 |
漢字: | 平壤放送 |
発音: | ピョンヤンパンソン |
日本語読み: | へいじょうほうそう |
MR式: | P'yŏngyang Pangsong |
英語表記: | Pyongyang Broadcasting Station |
平壌放送(ピョンヤンほうそう、朝: 평양방송 , 英: Pyongyang Broadcasting Station; PBS)は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の国営放送局。朝鮮中央放送委員会が製作する海外向けラジオ放送(国際放送)である。
概説[編集]
北朝鮮から発信される国際放送(海外向け放送)は、2022年1月現在、朝鮮語を使用した放送のみが「平壌放送」の名称で呼ばれている。
朝鮮語以外の外国語(言語)の海外向け放送は、2001年2月16日に「朝鮮の声放送(英語:Voice of Korea)」に改称された。
主な周波数は中波(AM)で621、657、801、855kHzなど。この他にも短波でも放送されている。
内部向けメディアの朝鮮中央通信や朝鮮中央テレビ、朝鮮労働党機関紙・労働新聞等と違って、北朝鮮の一般住民は報道内容に接するのは不可能である[1]。
歴史[編集]
1945年10月14日に平壌放送局(朝鮮中央放送の前身)が放送再開時から実施していた対南(韓国・南朝鮮)・対外朝鮮語番組が、1951年1月1日に朝鮮語の海外向けの放送として開始された。1955年10月14日に組織改編されて国内向け放送とは別系統として分離されたのがその前身である。
その後、1967年12月に「朝鮮中央第2放送」と改称された。1972年11月10日に組織改編によって海外向け放送と別組織になった際に「平壌放送」に改称された。
同じように近隣諸国での受信を目的に行う朝鮮語の放送局に韓国放送公社(韓国・南朝鮮)が行うKBS韓民族放送がある。
2013年2月1日に平壌放送の公式ウェブサイト「民族大団結」(朝: 민족대단결)を開設した[2]。
2024年1月12日21時過ぎに(平壌時間=UTC+9)放送を中止した[3]。
放送内容[編集]
放送内容は、朝鮮中央放送と同様でニュースや音楽、労働新聞の論評、政治宣伝番組(プロパガンダ)、小説の朗読番組(ドラマ)などを中心に放送しているが、国内向けの朝鮮中央放送とは異なり、聴取の対象としているのは主に韓国在住同胞、もしくは在日朝鮮人等である。平壌時間(UTC+9)05:30から06:00までの30分を除いてほぼ終日に渡って放送されている(ただし周波数によっては04:00で放送を終了するものもある)。
放送開始前のインターバル・シグナル(IS)は「金日成将軍の歌」の冒頭メロディーを電子オルガンで演奏したものである。続いて北朝鮮の愛国歌の演奏に続いて「栄えあるわが祖国、朝鮮民主主義人民共和国万歳!」「朝鮮人民のすべての勝利の組織者・嚮導(きょうどう)者である朝鮮労働党万歳!」とのスローガンが読み上げられ、次に「金日成将軍の歌」と「金正日将軍の歌」が流れる。
かつて金日成放送大学は、1962年に開始されて以来、長い間毎日夜に放送されていた。しかし2004年10月31日放送分をもって42年間に渡る放送を終え、これに代わるものとして同年11月8日よりインターネットを通じての講義が開始されている。2009年4月に放送が復活した。
放送時間・周波数[編集]
- 2023年6月現在
放送時間(PYT) | 周波数 |
06:00-03:00 | 6160kHz |
06:00-04:00 | 801kHz、3320kHz |
06:00-05:30 | 657kHz、855kHz |
12:00-16:00 | 621kHz |
22:00-05:30 | 621kHz |
00:00-03:00 | 720kHz |
00:00-05:00 | 873kHz |
※PYT=UTC+9 日本標準時・韓国標準時に同じ。2015年8月15日から2018年5月4日まではUTC+8:30。
621kHzは朝鮮の声放送の日本語放送枠と時間外で共用になっている。
目的[編集]
平壌放送は、対南(南朝鮮)向け・近隣諸国にいる朝鮮人向け・工作員向けの放送とされている。工作員への指令はかつてこの放送で行われていたとされている。
乱数放送の終了した2000年以降でも、本放送の選曲順が工作員への暗号になっていると言う指摘がある。
なお、韓国在住者が平壌放送を聴取できないようにするため、韓国政府当局はジャミング(妨害電波)を発信して対処している(しかしソウルから離れると聴取可能な地域もある)。法令上、韓国国内での聴取そのものは禁止されていないが、内容の公衆への拡散等は国家保安法による処罰対象となる場合がある。
日本でも平壌放送の電波とこの妨害電波が混信した状態で受信されることがある(特に地理的に韓国に近い九州地方北部(特に福岡県北部(福岡市・北九州市など)、佐賀県北部(唐津市、伊万里市など)、長崎県の本土部北部(佐世保市・平戸市など)と壱岐・対馬・五島列島))、山口県・島根県など)。また近畿地方(特に京阪神都市圏)などの一部地域ではNHK大阪放送局と混信する周波数もある。
受信方法[編集]
電波(出力)が比較的強く(強いものでは出力1,500kW)、また中継局も多いため、日本国内でもAMラジオの621、657、801、855kHz等、様々な周波数で非常に容易に聴取することができる。
日本で聞く場合は、日が暮れてから前述の周波数にチューニングをし、ラジオ(アンテナ)の方向を多少調節するだけで受信できる。特に、AM657kHzは屋外ならば国内放送並みのクリアさで聴取可能。屋内でも受信可能な場合がある。安価の携帯ラジオやカーラジオでも申し分なく内容を聞き取れる(関西地方は不可(電波状況によっては全域で可な場合もある)だが、NHK大阪放送局(666kHz)と混信しやすい大阪から遠く、対岸に朝鮮半島がある日本海側の兵庫県北部(但馬地方)・京都府北部(丹後・中丹地方)など、場所によってはクリアに聴取できるところもある)。
乱数放送[編集]
乱数放送と呼ばれる暗号電文を読み上げる放送(通称:A3放送)をしており、これにより拉致を含む可能性のある様々な指令を工作員に送ったという説がある。
なお、この乱数放送の解読に使う乱数表は水溶紙が使われており機密性が保たれているが、これまで何度も韓国などで発見され押収されている。
乱数放送は2000年に一旦終了した(この放送終了は一連の工作活動を終了したのではなく、放送以外の指令伝達手段(暗号化した電子メール、またはモールス信号)に切り替えたためと言われている)が、2016年6月24日に16年ぶりに放送を再開し[4]、以降、不定期に放送が行われている。また2020年からはYouTubeを利用した乱数放送も始めている[5]。
脚注[編集]
- ^ 北朝鮮が韓国揺さぶり発言を国内で報じず その意図は?
- ^ 平壌放送がサイト「民族大団結」を開設 MSN産経ニュース 2013年2月1日
- ^ 北朝鮮が対外扇動ラジオを中断、対韓団体も整理廃止 産経ニュース 2024年1月13日
- ^ 北朝鮮が「暗号放送」を再開 16年ぶり 日テレNEWS24 2016年7月21日
- ^ 北朝鮮がユーチューブで暗号放送 工作員への指令か(2020年8月30日、聯合ニュース)
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 민족대단결(朝鮮語)